門前仲町で飲んだ夜
一昨日の金曜日、久し振りに門前仲町へ行った。何年ぶりだろうと思うくらい久し振りのことだ。いつもは荻窪で催されるある研究会の面々が納涼飲み会を門仲のおでん屋でやろうというしゃれた企画が持ち上がり、よろこんで参加することにしたである。
地下鉄大江戸線の駅から通りへ出たとき、さてどの道を行こうかと迷った。もっと余裕をもつつもりがギリギリまで仕事をしていたため、着いてみたら15分ほどしかない。久し振りだから門仲の交差点を通りたいとも思い、それには地下鉄出口を背にして左へ行けばよいのだが、何気なく小路の奥を見ると木立の緑が見えた。青空に樹木のありようがなかなかいい。この景色を見ながら歩こうと決め、深川公園を抜けることにした。目的の店は富岡1丁目にあり、八幡宮の向かいあたり。交差点を通ると直角に曲がりながら行くことになるところを斜めに突っ切るかたちとなるから少しばかりゆっくり歩ける。
ぼんやり歩いて行った。夕刻とはいえ夏の陽差しがまぶしい。大きなビルの裏側が小路に面している。ひと気がなく、ま、はっきりいってつまらない光景だ。しばらく来ないうちに、門仲も当然ながらビル街となってしまっていた。木造ふうが鉄筋ビル街ふうになり、街の匂いが変わった。それだけご無沙汰していたわけだ。魚三で早い時間から飲み始めた日があったがあれ以来か。やがて深川不動尊の参道にぶつかる。不動尊へ行く時間はない。参道からあの屋根を眺め、昨日見た景色に出会った感覚から胸の中でおお(!)と声を上げた。
志水さんと出会い中山さんとも出会い、三人で千松ののれんをくぐった。しんと落ち着いた空間があり、親父さんの鋭い目つきと娘さんの明るい声が迎えてくれた。やがて塩田さんが現れ大谷さんや松下さんも現れ、全部で10人、みなさん元気だ。ビールで乾杯し、ぼくは阿久根の焼酎“華”に替えて飲み始めた。目の前に座った中山さんとは京都の話をした。中山さんの、古都ならぬ糊塗千年という皮肉ないい回しが面白かった。志水さんは前の日に怪我をしたそうで、左手親指が包帯でふくらんでいる。軽いダンベルをもって散歩中に濡れた木の葉にすべって転んだという。転ぶ瞬間ダンベルを放せばいいのに握ったままだったのでヒビ入りの大怪我となってしまったようだ。大谷さんからは仕事の話を聞いた。ポリー・トインビー著『ハードワーク』を媒介に、意図したものではなかったけれど、会計事務所の現状を知られてびっくり。会計士の資格をもっていてもそれはステイタスにはならないらしく、日本の時間給労働がいかに悪い条件下におかれているかというルポを聞かせてもらうこととなった。まったく知らない世界なので面白かったが彼女自身の仕事の環境は気になる。“資格取得ビジネスに乗せられてしまったみたい”ということばが印象深い。福井さんとも久し振り。初対面の方たちもいて、要するにわぁわぁ楽しんだ。
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